~前田二生指揮 スロヴァキア・シンフォニエッタ~
楽友協会に付属するアルヒーフ(資料室)所蔵の楽譜によるコンサート・シリーズを1989年以来継続している指揮者の前田二生とスロヴァキア・シンフォニエッタによるコンサートが、同協会創立200年記念を機に2年ぶりにブラームスザールで開催され、再会を楽しみにしていた人々が集まって大きな盛り上がりをみせた。今回で同シリーズは通算27回目となり、さらに10年秋に前田がオーストリア政府より科学・芸術第一等級栄誉十字章の勲章を受けたことに対する返礼の意味も重ねたコンサートであった。 資料室長のオットー・ビーバ博士構成によるプログラムでは楽友協会で初演された作品、献呈された作品が選ばれた。シューベルト「序曲」ホ短調D648、同「交響曲第6番」ハ長調D589、フランツ・ラッハナー《旧楽友協会開館のための序曲》(1831)、J・シュトラウス1世ワルツ《楽友協会舞曲》Op140、同《四季のカドリーユ》《チェチーリア・ワルツ》Op120、そして最後にJ・シュトラウス2世が現在の大ホール開場の際の舞踊会のために作曲したワルツ《人生を楽しめ》Op340によるラインアップだ。なおスロヴァキア中部の都市、ジリナを根拠地とするこの室内管弦楽団とは名誉主席指揮者として、前田は89年以来内外で共演を続けており、今回が81回目の公演となる。(6月2日)
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